- 2019年04月28日12:00
富士屋本店 細雪なき後…渋谷にはまだ「やまがた」がある
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渋谷は若者の街じゃない。オッサンが安心できる大衆居酒屋が、まだ健在。
渋谷の大衆酒場
「やまがた」がホッとする
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★渋谷の老舗酒場が消えてゆく
渋谷マークシティのほとりにあった居酒屋「細雪」が閉店し、チェーン店なのかどうか判別つきかねるどんぶり店に変わっていた。
「富士屋本店」もなくなってしまった。
どちらもお客の平均年齢が高く、アラフォーの自分さえ若手と呼ばれるような、ベテランがゆったり飲める店だったからこそ、オタクで文系な俺は、渋谷に対するアレルギーが解消されたのだ。
渋谷は、断じて若者の街ではなかった。飲んべえのおっさんが集う街。
でも、細雪も富士屋本店も、今や――と、寂しい気持ちで酒を傾けるのは、「魚がし福ちゃん」。
上から時計回りに、赤貝(880円)、ホタテ(680円)、真ゴチ(880円)。渋谷でこの新鮮な刺身を食べるなら、倍以上は値を取りそう……というか、想像の倍以上のボリュームと言うべき刺身を求めて、今日もオッサン達は店の様子を窺う。
入れたら、ラッキー。入れなかったら……行列を伸ばすような無粋なことはしない。それが渋谷のオッサン達の暗黙のルール。
酔っ払い厳禁、大人数禁止、料理のオーダーは1度だけ、1時間制。初見をアワアワさせることでおなじみのルールと殺伐とした雰囲気は、令和を目前にしたこの時代に、渋谷に残された昭和の残滓……
★気になる店の暖簾をくぐった
どんなに長くても1時間で追い出される「魚がし福ちゃん」で飲んだ後、もう一軒行きたい気分に。しかし細雪も富士屋本店も、今やない。どこに行こうかな、鳥竹はこの前行ったしな……と、マークシティの周辺をウロウロしてて、以前から気になっていた酒場を思い出した。
その名も「やまがた」。黄色い看板が、時代を引きずっている感じでいい。
ここ、入ってみようかなーと、ほろ酔いで扉を開けて、私はこれまで「やまがた」に来ていなかったことを一瞬で後悔した。
その他は至って普通の、大衆酒場のおつまみが並ぶ。
★「やまがた」で二次会を
ホワイトボードのメニューも、昭和レトロなんてもんじゃない。
細雪で何度も頼んだエシャレットがある。新ジャガ煮ころがしって。アン肝、白子ポン酢、セロリステイク。セロリステイク。セロリステイク。面白いので3回書きました。
いろいろ食べたい、どれもこれもいただいて、その味を確認して安心したい。そんな欲望のある私でも、魚がし福ちゃんの刺身をガッツリ食った後だと厳しい。
ちょっとはしゃいで揚げ物をひとつは食べたかった。「カキフライ」(600円)は大粒で、牡蠣の身を頬張るという歓喜を味わえる。
そして、「里芋煮」(650円)。ちょっとビジュアルが寂しい玉こんにゃくを見た以上、里芋が4つくらいだけ皿に転がって出て来てもおかしくないと思っていたんだが、きちんと鉄鍋、野菜の肉もふんだんにだくだくの汁で出て来たその姿は、まさに山形名物・芋煮。
ほっこりゆったりとした気分で酒を傾けると、なんだかまあ、ここが世界でもっとも人が行き交う街のひとつで、YouTuberやインスタグラマーがこぞって集まる東京の象徴たる街であることをすっかり忘れる落ち着き方。
もう1回書いておこう。俺、なんで今までここ入らなかったんだろう。
渋谷の街に新しいビルが林立し、フューチャーシティが完成しても、ここだけはこの雰囲気を残してずっと営業していてもらいたいと、切に願った。
【店舗情報】
名称:やまがた本店
住所:東京都渋谷区道玄坂1丁目6−5
名称:やまがた本店
住所:東京都渋谷区道玄坂1丁目6−5
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