- 2017年12月12日17:00
“殻”を破れ!ダニエル・ラドクリフが死体役『スイス・アーミー・マン』
(映画『スイス・アーミー・マン』予告編|YouTubeよりキャプチャ)
ハリー・ポッター役でお馴染み、ダニエル・ラドクリフが全編通して“死体役”という異色の映画『スイス・アーミー・マン』が面白いんだけど、ポッターのイメージで観に行くとヤケドするよという話。……ま、死体役と聞いたらまず行かないか。
『スイス・アーミー・マン』
は、コメディに収まらない
ヤバい映画
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★終演間近、ユジク阿佐ヶ谷レイトショー

「奇想天外な青春・サバイバルアドベンチャー」とキャッチコピーが入っていますが、予告編を見た限り、ハリー・ポッター役でお馴染みのダニエル・ラドクリフが全編通して“死体”役という謎のコメディという印象でした。
映画公開は9月。当時は観に行くチャンスがなく、もう終わったかなーと思っていたら、阿佐ヶ谷のミニシアター「ユジク阿佐ヶ谷」で12月15日まで上映されていると聞きつけ、慌てて行って来たんですよ。
予告編はコチラ。これを見てもらえればわかるとおり、ダニエル・ラドクリフはあくまで“死体”。
遭難し無人島で孤独に絶望していた主人公・ハンクが、ある時浜に打ち上げられている“死体”を発見。
それがダニエル演じるメニーくんなんですが、メニーが尻から噴射する屁(腐敗ガス)を利用し、ハンクは水上ジェットスキーのように無人島から脱出する――というのが、映画冒頭のシーン。
完全につかみはOK。というか出オチ。
これだけで、ギリギリとはなったが、映画館で観ることが出来てよかったなと。
★『スイス・アーミー・マン』は果たしてコメディなのか

▲ユジク阿佐ヶ谷のロビーで写真スポットとして展示されていたメニー等身大人形
メニー(ダニエル・ラドクリフ)は、水上ジェットスキーだけでなく、死後硬直の関節をバネにして火打石に斧に、空っぽの胃を利用して水筒に、ケツから出る腐敗ガスは着火剤に……無人島を出たはいいが、携帯の電波も届かない大自然の中に取り残されたハンクの、便利な十徳ナイフ(スイス・アーミー・ナイフ)になる。だから『スイス・アーミー・マン』。
そのひとつひとつは、死体相手にもがく青年のコメディ。予告編動画を見てもらえれば、その愉快な死体の便利さに、思わず笑っちゃうと思います。
(映画『スイス・アーミー・マン』予告編|YouTubeよりキャプチャ)
「大切な人が、待っているんだ」
文明社会へ還ろうとするハンク。その道具・メニー。深い森の中でギリギリを生きる中で、遭難者と死体の奇妙な友情が芽生え――
友情の奇跡で、死体(メニー)が喋りだす。
自分自身が生還するために、自分を救ってくれた便利な死体・メニーを故郷に還すために、ハンクはメニーを背負ってサバイバル。
メニーは「喋る死体」というコメディチックな存在だが、ハンクとメニーの会話は、ハンクの幻覚か、妄想か。
それはハンクが自身の過去や現実を知り成長するための自己対話とも思え、だんだん笑えなくなっていく。
ジャングルは、ハンクの殻だ。観ている者に必ずある心の闇だ。
メニーはその殻を破るために、ハンクに垂らされた“蜘蛛の糸”――
その蜘蛛の糸を上がり切った時、ハンクは何を見るか。喋る死体のメニーはどうなるのか。
そもそもメニーは本当に“喋る死体”だったのか。
「青春サバイバルアドベンチャー」であり「死体コメディ」というキャプションはあくまで一面的なもので、哲学的であり、サイコ・ホラーでもあり、サスペンスでもある。背徳的で息を呑むシーンもあった。ファンタジーも入っており映像は面白いだけでなく美しかった。音楽も良かった。
これを「ダニエル・ラドクリフが死体役で、むちゃくちゃ便利なんですよwwwww」なんてひとことで済ますことなんてできない。
こんなに喜怒哀楽を揺さぶられる映画だとは思っていなかった。
2017年、『君の名は。』も『この世界の片隅に』も観た。『トレイン・スポッティング2』も『メッセージ』も良かった。
だけれど、円盤発売したら買おう。何度も観よう。観てない人には貸してすすめよう。そう思った2017年1位は『スイス・アーミー・マン』です。よろしくお願いします。
★ダニエル・ラドクリフファンも“ハリポタ”の殻を破れ
私がこの映画観に行ったユジク阿佐ヶ谷は、席数48席のミニシアター。満席にはなりませんでしたが、シンプルにダニエル・ラドクリフファンなんだろうなという若い女の子もちらほらと。ダニエル演じる死体・メニーは、そんなダニエルファンが引く下品な発言を連発し、ジャングルに打ち捨てられていたボロボロのグラビア誌の水着女性に、股間もフルヘッヘンド。ピクピクと動く股間はコンパスになり、その先が示す方向が、文明社会。
何を言ってるかわかりませんよね。私もわかりません。
屁(腐敗ガス)を放つ尻はズボンから丸出しだし、そもそも死体なのでゾンビみたいな見た目です。
予告編を見て愉快な死体コメディを期待して来た、私ほか奇特な観客がゲラゲラ笑う中、ダニエルファンと思しき若い女性がヒッと息を飲む声も聞こえた。
しかし、私はこの映画のテーマは“殻を破ること”と見ました。殻を破ることで見える世界がある。現実があり、未来がある。
ダニエル・ラドクリフは、ハリー・ポッター役であるイメージから脱却するために、その後もがいて来ましたね。全裸舞台などもこなし、今作では死体役。これもまたハリポタという“殻”を破る過程のひとつと見ることができる。まさにハマり役と言える。
そんな彼がもがく様を見て、「ひっ」と小さな悲鳴を上げるようなファンも、この映画のラストシーンを見れば、きっとダニエル・ラドクリフの輝かしい未来を想像して、ホッとできるんじゃないかなーと。
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