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あなたの暮らしのためになる(?)漫画原作者・猪原賽が発信する中央線ライフブログ

  • 12:00

「昔はすごかった」なんて言わせない!『超絶技巧!-明治工芸から現代アートへ-』平成生まれも!?現代作家の偏執ぶりに背筋が凍る

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三井記念美術館で12月3日まで開催中の「脅威の超絶技巧!-明治工芸から現代アートへ-」展に行って来ました。まだ行ってない方はお早めに!オペラグラスを持って行くことをオススメしますよ!


脅威の超絶技巧!
-明治工芸から現代アートへ-


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★“安藤緑山”を発見した「超絶技巧展」第2弾

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▲パンフレットより

明治時代に活動した作家達の超絶的な技巧を紹介し、これまで日の当たっていなかった作家達が“再発見”された「超絶技巧!明治工芸の粋」が開催されたのは2014年。

今回開催された「脅威の超絶技巧!-明治工芸から現代アートへ-」は、その続編となる展覧会。

前回は明治期に活動しつつもこれまで知られていなかった【牙彫】の安藤緑山を、あらためて2010年代に紹介。スーパーリアルなその作品が注目され、認知度も飛躍的にアップ。

今回はその続編ということで、再び安藤緑山・作の【牙彫】はじめ明治期の超絶技巧作品を紹介すると共に、現代に活躍する若手作家の超絶技巧と並べて展示。

昔の日本すげえ! に留まらず、今の作家を紹介する会となっており、時として現代作家は過去作家の引き立て役にされがちですが、すべて拝見して会場から出ると、今回は現代作家の鬼気迫る技巧を知った興奮冷めやらず、今を生きる作家の今後の活躍や認知度アップが期待される会でした。


★明治と現代を行き来し作家の超絶技巧を知る

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▲パンフレットより

今回は作品ジャンルを揃え、明治工芸と現代作家の作品を並べて展示する形。
伝統的【七宝】に合わせて展示する現代作品は、

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▲パンフレットより

蛇革のバッグから蛇が復活する様を描いた置物など、七宝とは思えない作品が並んでいます。


★目をこらせ!目に焼き付けろ!納得の“撮影禁止”

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展覧会で写真撮影禁止はあたりまえの話ですが、入り口入ってすぐ、2つの作品だけが撮影可能です。

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▲明治工芸品「猫ニ花細工花瓶」(初代 宮川香山)

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▲現代作品「origin as a human」(高橋賢悟)

以上、撮影可能な明治工芸と、現代アートの2点。
しかし「普通撮影不可に決まってる」と常識的に考える以上に、逆にこの2点を撮影可とすることで、写真の限界を知るわけですよ。

つまり、写真に撮ったところで、生でこの目で見た驚き、感動まで伝わらない。

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実は、滅多に買うことのない写真目録を私、買っちゃったんですよね。2,700円と入場料のざっと倍額するもので、記念にはなるものの、中をパラパラめくってびっくり。

会場で見て「すげえ!」と嘆息した感動が、写真1枚きりではまったく伝わってこない。

だから目録買うな、という意味ではありません。特に作家や作品の詳細、情報は文字としてしっかり頭に入るので、買って損なし。買って良かった。

しかし写真の一面的な描写では、生で360度舐め回すように眺めるビジュアルの迫力にはかなわない。

展示品の中には、拡大ルーペを用意されているものもあります。あまりにも精細で、ガラスケース越しでは距離が足りないものもあるのです。

もうすぐ会期の終わる「超絶技巧!-明治工芸から現代アートへ-」を、駆け込みでこれから見に行こうという方には、どの作品の全体を、詳細の細かい造形を眺めるために、ぜひオペラグラスの持参をオススメします。


★要注目の現代作品

ここからは、私が購入した目録の写真から、注目の作品を特に現代作品から紹介。

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▲自在「鹿の子海老」(大竹亮峯)

明治期に流行した【自在】細工を、珍しい木彫で作った作品。伊勢海老の節・外殻を再現し、自在に、本物の伊勢海老と同じ動きで動かすことができる……らしい。

これが特に写真と生の迫力の違いが出ている。会場で心に留まったものをどれかひとつと挙げれば、この伊勢海老。しかし目録で見た時の「もっと迫力あったよ!!」と感じるイマイチさ。カメラマンの腕はきっと関係ない。作品との距離感、裏から表から上から横から眺めるワイドな迫力は、この方向1面からでは伝わらないのだ。

大竹は1989年生まれ。28、9歳である。

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▲水墨画「右心房左心室」(山口英紀)

絹に描かれた水墨画。モノクロ写真か鉛筆画かと見まごう作品。会場では実物に視線数センチに迫れるがゆえに、目録の写真ではまだまだ迫力が足らない。
墨と筆でどうしてこう直線的な現代の風景を描写できるのか。筆先の動きひとつ失敗しただけで台無しになる、その製作作業を想像して背筋が寒くなる。

山口は1976年生まれ。40、41歳である。

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▲彫金「綿毛蒲公英」(鈴木祥太)

真鍮・銅で作られたタンポポの綿毛。金属で再現された植物。
「造花は散らないので美しくない。生花は散るからこそ美しい」という言説もあるが、今にもひとつ綿毛が飛ぼうとする瞬間を捉えたこの作品には生命を感じざるを得ない。

鈴木は1987年生まれ。29、30歳である。

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▲木彫「一刻:空き缶、ピラカンサ」(前原冬樹)

プロボクサー、サラリーマンを経て32歳で東京藝術大学油絵科に入学し、一木作りの木彫りを製作している異色の経歴を持つ前原冬樹。

錆びた空き缶というモチーフは、現代この時代ならではか。
写真下に一部に見えるのも彼の作品「一刻:有刺鉄線」。一本の木材から極細の金属と自然物が絡み合う姿を掘り出す様は、もはや狂気じみている。

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▲パンフレットより

食べかけのサンマが乗った皿を掘り出した一木作りの「一刻:皿に秋刀魚」も、「超絶技巧!-明治工芸から現代アートへ-」の宣材写真として使われている。(写真右)

前原は1962年生まれ。54、5歳となる。

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▲彫刻「Water」(臼井良平)

ガラスで“水”を表現することは多いが、ビニール袋の形を模して、日常の中の水を表現。モチーフの触感・重さも容易に想像できる一方で、ガラス製と知りまたその肌触りと重量感を想像できる、二重の面白みがある。

臼井は1983年生まれ。33、4歳になる。会田誠のクラスに在籍し、工芸のみならず様々なアートを発表している。

その他、平成生まれの若者も含まれる現代の作家達の、鬼気迫る作品群。
「超絶技巧!」展で明治期の作家を知った現代の我々は、「昔の日本がすごかった」なんて懐古趣味に走りがち。
しかし、現代の若者もスゴい。そんな知られざる若手を知り、驚く。そんな展覧会だったと思います。


★会期は12月3日(日)まで!急げ

現代作家の他の作品や、もちろんその源流となる明治工芸も紹介したいが、やはりどこか、会場で見る事にはかなわないという諦めもある。

一方で「生よりも映像」という場合もあり、

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特にこの、明治期の【自在】「鯉」(高瀬好山)。

会場では現物が展示されているが、金属製で隙間も見えないこの鯉がクネクネと鯉が泳ぐ様を再現し動く映像を、会場で見ることができる。

動きそのものが注目の作品となると、写真で見るより迫力ある生での鑑賞よりも、実際に動いている様の映像のほうにため息がでるという、ちょっとした矛盾も楽しい。

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「脅威の超絶技巧!-明治工芸から現代アートへ-」は、銀座「三井記念美術館」で12月3日(日)までの開催。少しでも気になったら、見に行くべき。写真と現物ではその印象も迫力も段違い。

途中にも書いたとおり、オペラグラスを持参し、作品ひとつひとつを舐め回すように見て焼き付けて欲しい。

【施設情報】
名称:三井記念美術館
住所:東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館
観覧時間:10:00〜17:00(入場16:30まで/金曜はナイトミュージアム開催)
公式サイト:http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/
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