- 2017年09月30日12:00
昔ながらの洋食店で腹いっぱいになりながら個人経営飲食店がいずれ失われる“Xデー”を心配した話
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高田馬場の洋食店「キッチンニュー早苗」は、“日替わり定食”が730円、さらにプラス100円でライスがカレーライスにチェンジできるボリュームがスゴい。でも今回はそこからふと考えた、個人経営飲食店の未来について――
高田馬場「キッチンニュー早苗」
個人経営のあたたかさが
近い未来に失われる危惧をした
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★「キッチンニュー早苗」は街の愛され系洋食店
高田馬場・さかえ通りから路地に入った場所にある「キッチンニュー早苗」は、今年48周年を迎えた老舗洋食店です。
2015年にも当ブログNewsACTでもレポートした「キッチンニュー早苗」は、『モヤモヤさまぁ~ず2』でも登場したモヤさま聖地。
その長い歴史や、「『ニュー』ということはニューじゃない元祖『キッチン早苗』があるんじゃないか」という疑問には、上記高田馬場新聞さんの取材記事が詳しいです。
日々違う「日替わり定食」が、毎日の一番人気。奥さんは次々と来る常連客の名前を呼び接客し、注文はすべて記憶のみ。
マスターは奥さんのコールを受けて、きびきびとフライパンをふるい、一度に5、6人前の日替わり定食を仕上げて行きます。
変わらない、昔ながらの洋食店の空気がそこにある。だが、そんなマスターも、還暦はとうに過ぎている雰囲気。そんなマスターが黙々と料理を作っていく姿は、激しい肉体労働の雰囲気ある。
……つまり、「昔ながらの風景」は、いつまでもある風景ではないのではないかという心配が、私の中に湧き上がる。というのも――
★続々閉店する“昔ながら”の個人経営店
近年、店主の高齢化と跡継ぎがいない事で閉店する個人経営店が多いですね。洋食屋、定食屋、普通の中華料理店。考えてみれば、中野駅周辺でも、個人店はもう数えるほどしかないんじゃないでしょうか。
ブロードウェイ下「大門」も今年閉店しました。
中野ブロードウェイ「中華大門」が40年の歴史に幕 閉店日に間に合わず悲しむ常連も https://t.co/kMrjlT1LvO#中野ブロードウェイ #中華大門 #閉店 #中野経済新聞
— 中野経済新聞 (@nakanokeizai) 2017年4月9日
ちょっと話はズレますが、友人がタイ・インド2ヶ月放浪の旅から帰って来て「日本のメシは美味くて安くて安全」と言いました。インドではマックですら腹を壊したと。
彼の言うメシとは大手チェーンも含まれますが、昔ながらの、学生街の学生向けの大盛り定食店、ビジネス街のサラリーマン向けの飲食店。その積み重ねた歴史は、誰もが永遠に続くと思っている街の風景。安心する、懐かしい味。
ですが、大手チェーンと違い、個人経営店は店主の体力が続く限り存在できる店。
高田馬場で言えば先日、「天ぷら いもや」も店主急逝の為閉店しました。
▲「天ぷら いもや」の閉店は、7月発売の「高田馬場早稲田食本」に紹介された直後だった
中野「中華大門」「神居古潭」、高田馬場「いもや」……この1年で私のお気に入りのお店が、店主高齢や死去を理由に突然の閉店を余儀なくされています。ほかにも引退を考えていたが、なんとか後継者が見つかったからと奇跡の復活を果たした酒場もいくつか心当たりがありますし。
同様に、店主がご高齢になって来ているお気に入り酒場や飲食店を訪れる度に、「あと何年、ここに来れるだろうか」そんな不安が頭をよぎりながら、その場の空気を楽しんでいる。永遠に続くなんて、そんな夢みたいな事は考えていない。
そのXデーが迫っているお店は数多くあり、「キッチンニュー早苗」もそのひとつと考えると、もうちょっと足繁く通い、毎回の味を噛みしめるべきなんだと、ちょっと切なくなったのです。
(この文章をマスターに見られたら、まだまだ現役ですけど!と怒られそうではありますがw)
★個人経営店の“Xデー”はグルメネタが終わる時か
「モヤさま」の聖地、「孤独のグルメ」の聖地、「酒場放浪記」の聖地。漫画やドラマで取り上げられる店は、歴史ある個人経営店が多いですね。それはきっと、長年店が“そこ”にある街への馴染み方、入れ替わり世代が替わる客達、そして変わらずひとつの味を守り続ける店主のドラマがあるからこそ、だと思うんですよ。
でもそれは、永遠ではありえない、いつかは失われる個人経営飲食店。その風景。
もちろん若者が起業し、独立する店も多くありますが、昭和・平成の時代を駆け抜けた歴史ある店の、街での存在感にはまだまだ敵いません。
その新参・新店舗が街に馴染むまで、きっと10年以上の時間が必要。
それを待たずに、そう遠くない未来に、“昔ながらの個人経営店”が堰を切ったように急に全部なくなるんじゃないか。
昭和時代から続くような昔ながらの定食屋、昔ながらの居酒屋、純喫茶。それはウナギやマグロよりも危険な、絶滅危惧種なのでは――
漫画やドラマ、テレビ番組で取り扱われる、歴史ある小さな個人飲食店への愛おしさって、いずれ散る花びらを見る気持ちなのかもしれません。
チェーン系の居酒屋やレストラン、ファストフード店にしか行ったことのない若者には、ちょっと通じない、昭和生まれのオッサンの独り言……かもしれませんね(笑)。
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