- 2017年03月30日07:30
上映・トークイベント「名作アニメの舞台裏〈フランダースの犬〉」観覧レポート
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名作アニメ『フランダースの犬』ラスト2話をスクリーンで観て、当時の監督・スタッフさんに話を聞くイベント「名作アニメの舞台裏 第1回【フランダースの犬】」に行って来ましたので、軽くレポートいたします。
「名作アニメの舞台裏」
第1回・フランダースの犬
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★「あにれく」とは?
まず今回のイベントの主催「あにれく」について。《あにれく》には、アニメーションの作り方をレクチャー(lecture)するという意味と、(あにれく公式サイトより引用)
アニメを愛する人々が集うレクリエーション(recreation)の場であるという、
二つの意味が込められています。
現場でアニメ制作に携わる人々には情報共有やさらなる技能向上のため、
これからプロを目指す方々には実践的なスキルアップのため、
純粋にアニメを楽しみたいファンにはより深い見方を知ってもらうため、
様々な技術や知識を学べる場を提供してまいります。
「あにれく」は、アニメ業界の技術の底上げや、ファンの好奇心にこたえるイベントを開催するアニメーター・アニメ関係者のボランティア団体。
これまで絵コンテ講座や背景など描くためのパース講座、人物を描くためのパーツ講座など、アニメーター(とアニメーター志望者)向けのイベントが中心でしたが、先日3月26日に主にアニメファン向けのイベントを開催。それが……
★「名作アニメの舞台裏」第1回・フランダースの犬
言わずと知れた「世界名作劇場」第1作(※)、『フランダースの犬』の“舞台裏”を探るイベント。
伝説的に語られる最終回とその直前のエピソード、2話続けてスクリーン上映。その後、作品監督の黒田昌郎さんと、製作に携わった絵コンテスタッフ・奥田誠治さんのトークを聞くという、『フランダースの犬』ファンであれば見逃せないイベントでした。
特に上映される映像はハイビジョン映像。涙なくしては観られない最終回、あのシーンを、高精細な大画面で観られるだけでも貴重な機会でしょう。
(※世界名作劇場のシリーズ作はどこから含めるのか諸説あり)
★会場・東京工芸大学中野キャンパスのシアターがすごい
イベント会場は、東京工芸大学中野キャンパス内「マイブリッジシアター」。ここは3年前にできたばかりの施設で、そこらへんのミニシアター顔負けのシステムが備えつけられています。
4Kでの映像出力、360度の高低差・前後左右からのサラウンドを実現する11.1chの立体音響システム。
学生の講習や実習でしか使われていないのはハッキリ言ってもったいない。
まあ、だからこそこういったアニメイベントや、その他映画のイベントがこじんまりと開催されているようですが、今回は40年前の名作アニメ『フランダースの犬』。ハイビジョンにリマスターされた映像とはいえ、音もステレオ音声で、その真価を発揮しづらいかw
★『フランダースの犬』上映パート
『フランダースの犬』上映の前に、予定になかったサプライズ上映。『母をたずねて三千里』『小公女セーラ』など、世界名作劇場シリーズ5作品のオープニングをノンテロップ・4Kリマスター映像で上映。
あの頃ブラウン管で観ていた映像が、大画面の4K映像上映されると、音声こそステレオですが、こう何かグッと来るものあります。
そして引き続きハイビジョン版『フランダースの犬』本編の上映。
ハイビジョンリマスターした納品版らしく、本編前やCM挟みのタイミングでカウントダウンも入っていました。
そんな“舞台裏”的な映像なだけでなく、第51話に続いてテレビ放送時の最終回の予告映像、最終回後には「名作劇場」次作『母をたずねて三千里』の予告映像が。懐かしさ倍増。
最終回クライマックスでは、シアター客席のそこかしこから、すすり泣きの声が。
上映が終わり会場が明るくなると、目を赤く腫らした皆さんがそそくさと恥ずかしそうに涙を拭う様子が見られました。……まあ、私もですけどね。
★スタッフトークパート(裏話編)
(チラシPDFよりキャプチャ)第二部は、『フランダースの犬』監督(演出)の黒田昌郎さん、同作の半数以上のエピソードで絵コンテスタッフを務めた奥田誠治さんのお二人による対談形式のトークイベント。
そこはやはり「監督」という立場からか、黒田さんの独壇場に時折奥田さんがフォローや進行を進める形で進むトーク。
『フランダースの犬』製作時の苦労や裏エピソードというよりは、黒田さん・奥田さんがアニメーターになるまでの人生遍歴や業界の状況の変遷など、ざっくりと業界トークが多かった印象です。
特に『フランダースの犬』に関して飛び出た発言で重要だったのは、オブラートに包んで言えば「スポンサーの意向が強かった」。それに対して黒田さんがどうスポンサーや52話という長丁場のスピード進行の中で、原作を素材に“作品”に仕上げていったのかという部分が、普通に「名作」と語られる『フランダースの犬』の舞台裏にあったのだというお話が興味深かったですね。
そういう意味では、当時涙を飲み、描かざるをえなかった部分・シナリオに盛り込まざるを得なかった“不本意”な部分を排除した……
1997年公開の『THE DOG OF FLANDERS(劇場版 フランダースの犬)』は、合わせて観て欲しいと黒田さんは語っていました。
★スタッフトークパート(幻の最終回編)
『フランダースの犬』の〈泣き〉の主因は、ひとえにネロとパトラッシュの死〈昇天〉にあるでしょう。当時から監督とスタッフの中では、原作どおり死なせるべきか、生かすべきか、葛藤があったそうです。当時の絵コンテスタッフだった奥田さんは、当時検討のために描いた、幻のシーンの絵コンテを“再現”。現物は残っていないものの、ネロが本当に死んだのかどうか不明なまま希望を持たせるバージョンのエンディング絵コンテを当時描いており、記憶の限りそのままの絵コンテを今回のイベント用に描き起こし、スライドにして用意しておりました。
無音で進む、幻のエンディング。固唾を飲んで見守る聴衆。
果たして今皆さんご存知のエンディングが正しかったのか、間違っていたのか。本当にそうあるべきだったのか。どこか希望が必要だったのか。
それは今回のイベントに参加し見ていたお客さん達それぞれの判断にお任せしましょう。
★〈第1回〉を見て〈第2回〉に期待すること
『フランダースの犬』本編上映はファンとしてはありがたい経験でした。当時の予告映像も含め、テレビでしか観ていなかった映像がクリアになり、大画面で観られる。それは感動的です。名画館でかかる映画のリマスター版の上映なども、あくまで映画版であり、テレビ版をそのまま上映ということも少ないはず。
そういった点で今回の上映パートは満足いくものでした。
トークパートはと言うと、監督、絵コンテスタッフさんという立場は、普段裏方に徹し作品そのもので語るタイプじゃないですか。だからこそ“舞台裏”トークイベントなわけで。
今回のお二人はそのキャリアと実績から学校の教鞭に立つことも多いようで、まるで慣れてないという様子でもなかったのですが、ややトークテーマが前後し、脱線も多かった印象です。
もうちょっと深く聞きたい! というところで話題が逸れたり、時間の都合でぶった斬られたり、聴衆だけでなく話すほうとしても物足りなさがあったんじゃないでしょうか。
なので、トークに関しては司会進行のうまい「聞き役」が欲しかったと率直に感じました。
ただ、今回は〈第1回〉です。〈第2回〉の題材に『フランダースの犬』に続きどんなアニメ作品が取り扱われるのか、そしてスタッフさんに当時の“舞台裏”を聞けるのか。そこを期待しつつ、トークの進行に関しても改善していただけることも期待します。
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