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あなたの暮らしのためになる(?)漫画原作者・猪原賽が発信する中央線ライフブログ

  • 07:30

『スター・ウォーズ』ノ・ミカタ。 エピソード8:なぜEp.1から見てはいけないのか

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2015-03-20-22-07-23
こんにちは、漫画原作者の猪原賽です。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の公開間近ですね!

当ブログでは、映画マニアのまじさんに、「スター・ウォーズ」過去作の観方について語る「『スター・ウォーズ』ノ・ミカタ」を寄稿連載してもらっていますが、久々にその続きを掲載いたします。

さて、まじさん、どうぞ〜。


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前回より)

『スター・ウォーズ』ノ・ミカタ。 エピソード8:なぜEp.1から見てはいけないのか

まじさんの映画自由研究帳管理人・まじさん

★リアルに「新たなる希望」が沸く新作公開

間もなくだ! 間もなく『スター・ウォーズ』最新作『フォースの覚醒』が公開される!
誰も結末を知らない新たな『スター・ウォーズ』三部作の幕開けは、実に何年振りになるのだろう。
予告編も第三弾まで公開され、ルークでなくとも新たなる希望が湧いてくる!

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http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/08/3a545dd61b04423e83eedfdae55f21d5.jpg

公開1ヶ月前なので、ここで改めてフォースの予習、ジェダイの復習をお勧めしたい。


★観る順番の提案がコアなファンから猛反発!でもちょっと待って

当連載では『スター・ウォーズ』を初めて見る人のために、ベストな順番を提案して来た。
“Absolutely No Machete Juggling”(絶対にマチェーテでジャグリングしてはいけない)という海外サイトで2011年に紹介された“Machete Order”と呼ばれる順序である。

【参考】http://www.nomachetejuggling.com/2011/11/11/the-star-wars-saga-suggested-viewing-order/

4→5→2→3→6
1は見なくてよし!


その文意を、自分の解釈も含めて連載第1回において解説し、初見で見るならオススメだと主張して来たが、なぜかコアなファンから猛反発を頂いた。ここで釈明させて頂きたい。

(参考・連載第1回)「旧・新全6作、どんな順番で観る?」スター・ウォーズ・イヤー記念連載『スター・ウォーズ』ノ・ミカタ

この見方は以下の方が対象である。
  • まだ『スター・ウォーズ』を見たことがない。
  • 一応、見た筈なんだけど忘れちゃった。
  • 途中まで見たけど、全部は見ていない。
  • 全6作はハードルが高い。
  • どこから見ればいいのかわからない。
  • 友達から4→5→6→1→2→3→4→5→6を勧められたけど、ちょっと言ってる意味がわからない。
そんな人たちに向けて、イージーに見られるように書いた記事である。生粋の『スター・ウォーズ』ファン向けには書いていない。初心者が『スター・ウォーズ』の魅力に触れられる事を趣旨としている。


★オイラが「Ep.1嫌い説」が出る始末…でもやっぱちょっと待って

また、オイラがEp.1が嫌いだと誤解があるようだが、オイラは『スター・ウォーズ』が好きなので、勿論Ep.1も好きである。エピソード別に順位を付けるなら、全6作中、5番目に好きなのエピソードである。

何かとジャー・ジャー・ビンクスがウザかったり、C-3POが出てきただけとか、ウォーズ見に来たのに30分も退屈なレースとややこしい賭けを見せられたとか、デザインと殺陣は超絶カッコいいダース・モールが、期待の割にあっけなさすぎた。Ep.3までドゥークの最強の右腕として活躍して欲しかった。

挙げればキリがないほど文句はあるが、アナキン少年の冒険譚としては悪くはない。
ダース・モールやクワイ=ガン・ジンは、魅力的だし、彼らのライトセイバー戦は何度も繰り返し見ている。

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https://upload.wikimedia.org/wikipedia/it/thumb/b/bf/Darth_Maul.png/800px-Darth_Maul.png

何もオイラはEp.1を見るなとは言っている訳ではない。4→5→2→3→6を見て『スター・ウォーズ』を気に入ったら、見ればいいと書いた筈だ。
単体作品として楽しめる作品なので、幼少期のアナキンが見られる、スピンオフ作品として楽しめばいいと思う。

思えば日本で劇場公開されたスピンオフ作品の邦題はみんなカタカナだ。一緒にしても違和感はない。

『イウォーク・アドベンチャー』
『エンドア』
『ファントム・メナス』
『クローン・ウォーズ』
『ローグ・ワン』

ほらね。


★「Ep.1見なくてよし!」の真意

オイラが初見ならEp.1は見なくてよし!と言った理由は、実は別の所にある。

問題はEp.2だ。シリーズを通して最も多くのキャラクターが登場する作品でありながら、最も政治色が濃く、そして最も退屈で、残念な作品なのだ。

勿論、オビ=ワンとジャンゴ・フェットの対決はSW史に残る名対決だ。

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https://rhapsodistreviews.files.wordpress.com/2011/09/obi-wan-vs-fett-still.jpg

ドゥーク伯爵の登場シーンはどれも緊張感があり素晴らしい。
R2-D2の隠されていた、ブッ飛ぶような機能には度肝を抜かれたし、ジェダイの一斉攻撃やクローンの奇襲攻撃には、思わず熱くなったものだ。

それでは何が問題なのか?
公開当時、ヨーダがCG化さた事に批判が集まったが、問題はそんな些細な事ではない。

ここで全てを台無しにしているのは、他でもない、アナキンとパドメである


★アナキンとパドメの“罪”

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まさか、21世紀の映画で「暖炉の前でキス」とか「お花畑でゴロゴロ」を観る事になるとは思いもよらなかった!
アレはない。
ルーカスの恋愛観に思わず赤面してしまう。

ニノ・ロータの『ロミオとジュリエット』を彷彿とさせる見事な悲恋のテーマ曲をジョン・ウィリアムスが盛り上げてくれてはいるが、残念ながら悲恋と言えるほどの二人を分かつ障害がまったくない。
恋愛禁止のジェダイの掟も全く機能せず、恋と掟に悩む姿勢もそこにはない。
屁理屈で校則を破る中高生みたいに「愛は奨励されている」と宣う始末。

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アナキンは「誰にも縛られたくないと、盗んだバイクで走り出して、行き先もわからぬまま夜の帳の中へ逃げ込んじゃう」ような男であり、パドメはさながら、「暴れん坊でわがままで、おててを片方なくしちゃう所が可愛いの、L♡O♡V♡E♡投げキッス!」とかいって「年下の男の子」に惚れて、堕落していく田舎の良家のお嬢さんにしか見えなくて切ない。

ジェダイの規範を破りまくり、師匠の言葉を守らず、タスケンレイダーの女子供を虐殺してる辺りでもう、闇堕ちしてるとしか思えない。他のジェダイも腫れ物を触るような付き合い方しかしていないのだ。


★特に物語を破綻させている「アナキンの過去」

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ジェダイの英雄と謳われたアナキン・スカイウォーカーの過去を見てみれば、とんだ非行少年だった訳だ。

厨二病こじらせて非行に走った不良少年が、親分に拾われてヤクザになった所で、何が悲劇なのかわからない。グレるキッカケが描かれると思ったら、ハナからぐれていたのでは、蘇った良心を描いた筈のEp.6が成立しない。

Ep.2で見たかったのは、クローン戦争と呼ばれた過去の戦争で活躍した、ジェダイの騎士たちの活躍だ。

その中でもアナキンは秀でた存在でなければならなかった。誰からも期待されながら、誰からも尊敬される英雄として成長するしてこそ、Ep.3での暗黒面に堕ちる悲劇が際立つのである。

旧三部作に於いては、ヒーローズ・ジャーニーをなぞった事で、アメリカの新たな神話としての価値があったが、新三部作では、ヒーローズ・ジャーニーが成立していないのである。

そんなEp.2ではあるが、オビ=ワンの探索は面白い。

オイラがEp.2で興味を持続させられたのは、旧三部作を知っていたからに他ならない。しかし、ある重要な人物の名前が出てきながら、その描写が全く描かれていないので、むしろ気になって仕方がなかった。(その人物語ると長くなって、また管理人に怒られるので次回に回す事にする)

しかし、これが初見ならどうだろうか?


★新三部作を先に見ると脱落せざるを得ない初見者

実は『スター・ウォーズ』を途中までしか見てない人は、意外にも多い。
その中で特に多いのは、Ep.1からEp.2まで見たけど、飽きてしまったという意見だ。

Ep.1からEp.2の流れでアナキンを見れば、ジャンク屋の車好きが、一芸入試で名門学校(ジェダイ)に入学したが、熱血先生も手を焼く校則を守らない不良少年に育ち、怨みを持ったら実力行使の暴れん坊で、叶わぬ相手にも喧嘩を売る。身の程知らずだから身分の違うお嬢様に惚れて、全力で口説いてものにするという、ヒーローとは程遠い、転落街道をまっしぐらに歩んでいる事にに気づくだろう。

ここまで見れば、誰だってアナキンがヒーローにはならないと気づくだろう。将来はDV亭主かヤクザ者の道しかない。

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これでは旧三部作を全く知らない人であっても、オチが読めてしまい、先への興味を失ってしまう。
このように、Ep.2で挫折して『スター・ウォーズ』を見なくなってしまった話をいろんな所で聞いて、切なくなった。

Ep.1を抜くのではなく、本当は単純にEp.2を抜いてしまいたいところだが、シリーズを通して見るなら抜いてしまうわけにはいかない重要な情報が多分にあるのが悩ましい。

そんな訳でEp.2を少しは楽しく見られるように、4→5を先に観ることで、興味を持続して頂ける順番をオススメした次第だ。

Ep.1を抜いたのは、繋がりが少なく、Ep.2への連続性を断つ為だ。Ep.1からEp.2の流れは、アナキンの落差が激しく、すんなり飲み込めない初心者が多くいる。

Ep.1からのEp.2を愛せる者は幸いである。『スター・ウォーズ』への愛が、それだけ深いからである。オイラも『スター・ウォーズ』ファンとして愛せるが、映画ファンとして見た時には、脚本の完成度が低く、稚拙で残念だと言わざるを得なかった。ラジー賞受賞は残念だが、必然だった。
劇場の大スクリーンで見ていればまだしも、DVDでの初見者には余りにハードルが高い。『スター・ウォーズ』をまだ見ぬ人にどう勧めたらいいのか、オイラは本気で悩んだ。


★まさに目ウロコ!“マチェーテ・オーダー”

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そんな時期に海外サイトで、遂に見つけたのが、マチェーテ・オーダーだ。

4→5→2→3→6
1は見なくてよし!


やってみた。

想像以上に発見があった!何度も見ている筈の『スター・ウォーズ』が、とても新鮮に感じた。

「こんな見方はありえない!」と思う人に、特にお勧めしたい!!

ぜひとも初心に返って楽しんで欲しい。きっとあなたも新しい『スター・ウォーズ』の魅力を発見するに違いない。

そして、Ep.6を観た後、Ep.1も見てみたくなる筈だ。そしたらきっと、Ep.2、Ep.3、4→5→6と、もう一度見たくなるだろう。2周した頃には、立派な『スター・ウォーズ』ファンの出来上がりだ!

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★『スター・ウォーズ』ノ・ミカタ!

せっかくの『スター・ウォーズ』イヤーなので、過去作を見たことない人が『スター・ウォーズ』に触れる機会を作れたらと、オイラはこの連載を始めた。

当連載は初心者向きに、多少の誇張を交えて『スター・ウォーズ』の見方を紹介して来たが、一部のコアなファンから反感を買ってしまった。それはオイラの本意ではない。

既にファンの人には自分の見方があり、それぞれの楽しみ方がある。この連載はそういった見方や、Ep.1を愛する人たちを否定するものではない事を、どうか分かって頂きたい。

オイラはあなた方の敵ではない。『スター・ウォーズ』の味方なのだ。


**************

以上、まじさんでした。連載は、まだまだ続くんじゃ!

エピソード9に続く】

執筆:まじさん/編集:猪原賽

(関連リンク)
まじさんの映画自由研究帳

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