- 2015年03月22日12:00
『スター・ウォーズ』ノ・ミカタ。 エピソード4:新たなる希望
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『スター・ウォーズ』シリーズの公開とアップデートの歴史を綴った「エピソード3」。今回はそんななかなか全て追い切れないであろう改変の歴史に対するファンの反応や、今年公開される「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」へのオイラの思いを語る。
「改変」に対するファンの反応
前回列挙した『スター・ウォーズ』シリーズ改鼠の歴史。もう、お気付きだろうが、このような改変は、ファンの間では快く思われていない。いや、むしろ失望や、怒りを抱えている。
スター・ウォーズのファンは『スターウォーズ』を愛しているが、ジョージ・ルーカスが大嫌いなのだ。
(ファンの怒りを表したアート作品・http://www.kistlercreative.com/wp-content/uploads/2012/04/george-lucas_carbonite.jpg)
ドキュメンタリー映画『ピープルvsジョージ・ルーカス』によれば、多くのファンが怒っているのは、毎回修正された、ハンとグリードのシーンだ。
ハンは宇宙の運び屋で、汚い仕事も請け負うワルだ。正当防衛でなければ撃たないような正義漢ではない設定だった。卑怯な事もやって来た筋金入りのワルである。ここで、ワルとしての一面を見る事で、ルークの味方なのか敵なのかという不安を持たせていた。
だからこそ魅力があった。一時はルークを見捨てて行動を分かつが、ここぞという所で帰って来る。ワルだからこそ、レイアは彼を意識してしまい、次第に惹かれて行くのである。また、ハンもレイアに惹かれ、次第にワルから英雄へと成長していくのである。
だが『特別篇』以降のハンは正当防衛を守り、ただの悪ぶる善人となってしまった。
ジャバの追加シーンでも、撮影時にはまだジャバのデザインが決まっておらず、普通に俳優で撮影されたため、ハンがジャバの背後を回る演技で、ジャバの尻尾を貫通してしまうのを避け、CG処理でジャバの尻尾を踏み越える演出を付けた。コレにより、冷酷非道な犯罪王ジャバ・ザ・ハットが、ハン・ソロに尻尾を踏みつけられても、怒りもしない滑稽なシーンとなった。
Ep.6でのダース・ベイダーが、 “Noooo!!!!” と叫ぶのも評判が悪い。セリフがなくても「マスクの下の表情が見える」と言われた名シーンに、蛇足を付けたのだ。
そして、ラストのアナキンの霊体を、ヘイデンに変えた事によって、旧三部作から見る事が出来なくなり、ファンは未見の友に勧め辛くなった。
新三部作では、ヨーダが全てCGになった事で、パペットによるフランク・オズ氏の芸術的な操演も失われてしまった。
こういった改変は『スター・ウォーズ』に限った話ではない。『ブレード・ランナー』や『未知との遭遇』など、「特別篇」や「ディレクターズ・カット」と称した再編集版などがある。
だが、それはオリジナル版と比べて、どちらが良いと思うかは、視聴者の手に委ねられている。しかし、『スター・ウォーズ』に於いては、そうではない。劇場初公開版をそのままデジタル・リマスターしたBlu-rayやDVDは存在しない。ファンが望んでいるのは、そのバージョンだ。余計な改変が加えられていないものが観たいのだ。多少チープな特撮であっても、それはご愛嬌ってヤツだ。それを含めて、ファンは愛して来た。
しかしルーカスは、ファンが公開から共に歩んで来た歴史を無視し、否定したのである。ファンが愛した『スター・ウォーズ』は、作者自らの手により改竄されてしまったのだ。
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”ルーカス不在”に期待する新たな三部作
今年公開の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は、ディズニーの製作で、J.J.エイブラムス監督によって、新たな三部作の幕開けとなる。特筆すべきは、新作の製作にジョージ・ルーカスが参加しない事だ。だが、オイラはそれを歓迎している。正直、もうルーカスは『スター・ウォーズ』に関わって欲しくないと願っていたからだ。作品を愛する者たちが作り上げる、新たな『スター・ウォーズ』なら大歓迎だ。
スティーブン・スピルバーグや、ロバート・ゼメキスの作品を製作して来たベテラン・プロデューサーのキャスリーン・ケネディと、どんな時でも原典へのリスペクトを持ち、全監督作品にR2-D2を出すほどの『スター・ウォーズ』マニアなJ.J.エイブラムスなら、申し分ない。
不安要素は「ミッキー」が作品に口出ししてくる事だ。ディズニー映画では、投資家たちや社内のエグゼクティブが、作品に口出しをして、酷い結果になる事が多い。(ミッキー・マウスのアニメでは、彼の発案で何かをしようとすると、概ね酷い結果になる事から、彼らの口出しを“Micky Mouth”「ミッキーの口出し」と呼んでいる)
だが、そこはきっとキャスリーン・ケネディが、全力で止めてくれるだろうと信じている。
ルーカスは映画界の反逆児として、監督協会に所属せず、インディペンデントでやって来た。映画に革命を起こそうとして、それを成し遂げた。だが、いつの間にか自分の作品を新たな発想で、手を加えるようになった。
「本当はこうしたかった」から「こうすれば、良かった」と、思い付きで手を加える箇所が増えていった。作者が改竄するので、歯止めが効かない。一度世に出た作品を、これほどまでに上書きするアーティストは、他にいないだろう。彼にはもう、『スター・ウォーズ』の全体像が見えていないのではないか?と、オイラは疑いを持っている。
ルーカスが『スター・ウォーズ』を産み出した事には感謝しているが、我々は、彼に振り回される事に、もう疲れたのだ。
ここらで『スター・ウォーズ』は、新たに人の手に渡り、ルーカスではない『スター・ウォーズ』が製作される事を、歓迎すべき時が来たのである。
【エピソード5に続く】
執筆:まじさん/編集:猪原賽
参考サイト:
スター・ウォーズの鉄人!
http://www.starwars.jp
Wookieepedia
http://ja.starwars.wikia.com/wiki/メインページ
R2-D2「スター・トレック イントゥ・ダークネス」にも出演していた!/アメーバニュース
http://news.ameba.jp/20140108-249/
参考文献:
『スター・ウォーズ/特別篇』パンフレット
映画『ピープル vs ジョージ・ルーカス』
※「『スター・ウォーズ』ノ・ミカタ」連載は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』公開まで随時続きます!
(関連リンク)
まじさんの映画自由研究帳
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