- 2014年11月05日18:00
「イチローズ・モルト」ベンチャーウイスキー秩父蒸留所見学記〜世界一小さな蒸留所だからこその挑戦的なスタイル
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世界で評価の高い日本のウイスキーメーカー「ベンチャーウイスキー」。
「イチローズ・モルト」のブランド名で有名な新興企業。
なかなか【工場見学】出来ないスポットのひとつでもあるのですが、見学して来ちゃいました。
貴重な写真と共にレポートします。
イチローズ・モルト(ベンチャーウイスキー)とは
【ベンチャーウイスキー】
東亜酒造創業者の孫である肥土伊知郎が創業した企業。東亜酒造で製造していたウイスキー原酒の蒸留と販売を行う。また、自社でも秩父蒸溜所を設立し、ウイスキーの製造をはじめている。
イチローズ・モルトというブランドでウイスキーを販売している。同社のアルコール度数56%のイチローズ・モルト カードシリーズの「キング オブ ダイヤモンズ」(KING OF DIAMONDS) は、イギリスの『ウイスキーマガジン』のジャパニーズモルト特集で最高得点の「ゴールドアワード」に選ばれた。
2004年9月 埼玉県秩父市に設立。
2008年2月 ウイスキーの製造免許を取得。
(Wikipediaより)
埼玉県秩父市にある、新興ウイスキーメーカー。それが「ベンチャーウイスキー」。
ベンチャーウイスキーのメイン商品であるウイスキーのブランドが「イチローズ・モルト」。
そしてその創業者は「肥土伊知郎(アクト・イチロー)」氏。
え、アクト?
NewsACT(ニュースアクト:このブログの名前)。
『悪徒-ACT-』(あくと:私・猪原賽が原作を書いた漫画)。
ご縁があるじゃないか。
……と半ば無理矢理感ある中、実際妙な御縁があり、私はとある秋の休日、中目黒の某バーの常連客で構成された「ベンチャーウイスキー秩父蒸留所」見学ツアーに潜り込んだのでした。
秩父の小さな蒸留所「秩父蒸留所」
ここに写る建物が、蒸留所の全容と言ってもいい、小さな蒸留所。それがベンチャーウイスキーの「秩父蒸留所」。
こちらで「イチローズ・モルト」は作られています。
(※近場に熟成庫等、別棟があります。)
しかし、この中の見学の前に、一旦ログハウス風の事務所兼ゲストハウスに入ります。
貴重な原画とイチローズ・モルト
これまでイチローズ・モルトが受賞した数々の証明が飾られています。
ベンチャーウイスキー社は創業こそ2000年代ですが、上記Wikipediaのとおり、創業者・肥土伊知郎氏はもともと、祖父の会社である東亜酒造出身。
東亜酒造の蒸留所は2000年まで同じく埼玉の羽生市にあり(=羽生蒸留所)、秩父蒸留所でのウイスキー生産・販売が出来るまでは、伊知郎氏はその羽生蒸留所の原酒を元にウイスキー販売をしていた経緯があります。
それが、上の写真の手前、トランプ・カードデザインのラベルのもの。
かつて羽生で生産され、熟成されていたウイスキー原酒で作られたボトル「カードシリーズ」です。
つまり逆に言えば、新しいウイスキー会社ながらも、古い閉鎖蒸留所の原酒を販売していた。
その中でも貴重な品が……
「イチローズ・モルト カード”JOKER”」。
「カードシリーズ」の最後のボトル。
つまり「ジョーカー」は、羽生蒸留所仕込みの樽の最後を意味する、貴重な1本。
限定生産だったこの「ジョーカー」は、その由来もあって、現在驚くほど高値で取引されています。
その……
ラベルの原画が、ゲストハウスに飾られているのです。ふむ、これか。
と、様々なアイテムに感慨に耽ったところで、さて、それでは見学に行ってみましょう。
最後の1枚、羽生仕込みの「ジョーカー」という切り札を出してしまった肥土伊知郎氏の、秩父での新しい1歩。ここ秩父でウイスキーメーカーとしてやっていく。その覚悟の砦、”世界一小さな蒸留所”へ!
麦と同じ道を辿る(仕込みから蒸留まで)
まずは原材料となる大麦の確認から。
これが原材料となる大麦麦芽。
細かく粉砕されていく過程の3つを見せてもらいました。
原料の麦芽は、直接手で触れさせてもらえるだけでなく、食べられる。
生の麦芽をかじり、その香ばしさを体験。
ここから粉砕された麦芽は、
仕込みの過程で麦汁になり、この大きな樽…ミズナラの発酵槽の中で発酵が進みます。
発酵途中の麦汁を、実際見せてもらえます。
私も見せてもらいました。この時撮った写真が……
コチラです。ぼこり、ぼこりと泡立つ麦汁。この過程で麦汁から、発酵液(もろみ)と変わって行きます。
これは、そのもろみを蒸留させるポットスチル。
銅製のこの釜は、形、大きさでのちのちのウイスキーの味が変わります。
(本場スコットランド製の特注品だそうです。)
もちろん上に上がって、近くで見ることが出来ます。
反射で良く見えませんが、発酵液が蒸留され、蒸留液がとくとくと出ているところ。
写真は1回目の初溜蒸留液。蒸留は2回行われニューポット(熟成させていないウイスキー)となります。
次はニューポットを熟成させる過程に移りましょう。
ウイスキーの熟成する場所「熟成庫」
これまでの生産過程とは別の棟に熟成庫があります。暗く閉ざされた樽の眠る熟成庫に我々は移動……する前に、
こちらは新品の輸入樽です。
アメリカンオーク材の新品の樽。イチローズ・モルトはこの樽で熟成され……るわけじゃないんだな。
いや、もちろんこれも熟成に使われるのでしょうが、そこはこじんまりとした蒸留所。
小回りの聞く企業として、そして新興蒸留所としての挑戦的なスタイルでもあるのですが……
こちらが熟成庫の室内。先日訪れたキリン富士御殿場蒸留所の熟成庫と比べると様子が違うのがわかりますね。
これがキリン富士御殿場蒸留所の熟成庫です。
高く広い敷地に並べられている樽は、どれも同じサイズの同じ樽。
しかしイチローズ・モルト秩父蒸留所の樽は、サイズも違えば材質も違う。
これは熟成の過程で様々な樽を使うことで、多様な熟成、仕上がりを試している状態なのです。
この小回りの利き方が「イチローズ・モルト」ベンチャーウイスキー社の魅力。
……が、その挑戦的なスタイルは、この後さらにその上を行く!
なんと、「樽」を自社生産
熟成庫見学ののち、少し離れた場所にある棟に案内されました。
なんとここ……
樽工場。
廃業した樽生産会社から、年季の入ったドイツ製の樽を作る機械を譲り受け、
自社での樽の生産を試しているのだそう。
後継者がいなくて閉鎖せざるを得なかった工場が、処分せざるを得なかった機械が、イチローズ・モルト/ベンチャーウイスキーの事業として復活。
今、実は世界でウイスキー生産用の樽が不足しています。
樽の買い付けも難儀な事になっていると聞きます。
そんな中、樽の自社生産に挑戦しているベンチャーウイスキー。これは画期的な取り組み。
イチローズ・モルトは埼玉・秩父から世界へ
そうして毎日生産される「イチローズ・モルト」。
ベンチャーウイスキー社は手狭になって来た熟成庫を、もう1棟増やしているところです。
なにせベンチャーウイスキー社は設立から今年で10年。
長期熟成によってウイスキーは高品質化します。これからのウイスキーが熟成庫に眠り、会社は長い歴史を刻んで行く。
羽生蒸留所の原資・原酒も尽き、ここ秩父で作られたもので勝負するしかないベンチャーウイスキー社・肥土伊知郎氏。
しかし歴史が浅いからこそ、真においしいウイスキーを作るために、試行錯誤の挑戦が出来る。
埼玉県秩父市で生まれ、育つウイスキーが、やがて世界で飲まれるものとなる。
埼玉出身者として、ベンチャーウイスキー社の飽くなき挑戦、応援したいと思います!
ちなみにこれ、「イチローズ・モルトジェラート」(左側)。
西武秩父駅隣接「秩父仲見世通り」で売られていたものです。
確かに「イチローズ・モルト」は、秩父の顔として根付いて来ているのです。
MALT DREAM|ベンチャーウイスキー社長 肥土伊知郎のウェブサイト
http://homepage3.nifty.com/venture-whisky/
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