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あなたの暮らしのためになる(?)漫画原作者・猪原賽が発信する中央線ライフブログ

  • 12:00

”あなたの好きな浮世絵に出会えます”――江戸東京博物館・特別展「大浮世絵展」行って来た

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2014年1月2日より東京・両国「江戸東京博物館」で開催されている特別展『大浮世絵展』に行って来ました。
「あなたの好きな浮世絵に出会えます」――つまり見たい浮世絵が必ずあるという近年稀に見るコレクションが揃った浮世絵展。
その展示作品は日本のみならず、世界の名だたる有名博物館の所蔵品からも借り受け、展示。
確かに浮世絵の事などよく知らなくても、「ああ、これ見たことがある!」という作品ばかりが並んでいました。

これがですね、ええ。すごかった!

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東京・両国「江戸東京博物館」。
確かまだココはNewsACTでは紹介した事がなかったと思いますが、こちらの常設展はわたくし、何度も訪れ、そして一人でも何回でも何時間でも過ごせるお気に入りスポットでして。

たまに興味のある特別展があった際に、うっかり「常設展+特別展」のチケットを購入しようものなら、つい常設展で時間を食い過ぎ、特別展を早足で見ざるを得なくなるほど。
今回はその二のは踏みません。

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今回は友人2人と3人で行って参りました。
友人らは実は「江戸東京博物館」初体験。彼らには「常設展+特別展」チケットを購入してもらい、特別展を見たあと常設展に行ってもらうことにして、私は特別展のみのチケットを購入。

チケット半券は展示作品のサムネイルが印刷されていましたが、どうやらランダムで図柄が変わるようです。地味にうれしい。

さて、今回の特別展は撮影禁止。写真を撮ることは出来ませんので、一部大浮世絵展公式サイトから画像キャプチャしたものと、会場で販売されていた図録から少し紹介しますと……

今回の展示は古今東西に散らばった浮世絵を時代系列によって章立てし紹介しています。

第1章「浮世絵前夜」


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浮世絵誕生以前の、肉筆画の展示。

第2章「浮世絵のあけぼの」


1000ピース 金彩 見返り美人 1000-71
菱川師宣『見返り美人図』等の、肉筆画・版画にこだわらぬ当時の世相を切り取る絵画のしての「浮世絵」という言葉の誕生。
特に奥村政信『芝居狂言浮絵根元』等の当時の大衆文化を切り取った画は、既に西洋文化の「遠近法」を取り入れようと努力した様子が見られ興味深いです。
※)『見返り美人図』は入れ替え展示の為、この日は展示されていませんでした。

第3章「錦絵の誕生」


それまで炭釣りに肉筆加色だった浮世絵が、木版多重摺りによって表現の幅と大衆性が広まった時期の作品の展示。

第4章「浮世絵の黄金期」


東洲斎写楽 1000スモールピース 奴江戸兵衛 (38cm×53cm、対応パネルNo.5-B)
東洲斎写楽『三代目大谷鬼次の江戸兵衛』を始め、もうこの辺りからは超メジャー級の浮世絵、浮世絵師がずらりと並びます。
喜多川歌麿、歌川豊国、鳥居清長らの作品が数多く展示されており、展示室内でも特に長いコーナーとなっていました。

第5章「浮世絵のさらなる展開」


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そして超メジャー級は展開期にも続きます。というよりむしろ浮世絵としてはこの時代のほうがよく知られた作品は多いのではないでしょうか。
葛飾北斎『富嶽三十六景』の数々、
歌川広重『東海道五十三次』シリーズ、
歌川国芳『相馬の古内裏』等、
108ピース 相馬の古内裏 (歌川国芳) T-108-460
あれもこれも教科書で、テレビで、デザインで見たことのある浮世絵ばかり。
色彩も構図も誇張・デフォルメが強くなり、私はここで確信しました。

日本のマンガ・イラスト文化は、既にこの時代に完成されている。

300Pジグソーパズル 日本橋 (東海道五十三次)
歌川広重『東海道五拾三次之内 日本橋朝之景』に見える人物を始め、広重の描く浮世絵内の人物達は、小気味いいほどにデフォルメされ、いきいきとしています。

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この絵柄そのままで現代でもマンガが描ける、ビッグコミックに掲載されていても違和感のないキャラクター達だと思いましたね。


そして、大き過ぎる葛飾北斎の名に隠れがちですが、その彼の娘・葛飾応為の絵がまたすごかった。

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これです、これ。
夜桜美人図』。

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輝く星空に黒く沈む樹の枝葉、石灯籠。

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女性の前後に配された灯籠によって浮かび上がる、着物の柄。
このライティングの描写力は、現代のイラストレーターに負けずとも劣らない見事なものだと、思わず溜息が出ました。

現代の人間が過去にタイムスリップして、現代の知識で活躍する――そんなSFは多く見られますが、逆に当時の浮世絵師達こそ現代にタイムスリップして来て、萌え絵を描いてバカ売れする……なんて想像をしてしまうほどに、意外にイラスト・マンガの技術とは進化していないのだな(いや、むしろ王道なのか)なんて思ってしまいました。

第6章「新たなるステージへ」


そして江戸から明治に変わり、昭和へと続く、西洋絵画に影響を受けた新たなる浮世絵の展開。
「新版画」と呼ばれる大正・昭和期の作品等が展示されていました。

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特にこの小林清親『画布に猫』。

これ、版画ですよ?

西洋画の緻密な描写力と、異常なまでに精密な版画技術によって完成しているこの作品は、どれだけ近づいて、眺め続けても見飽きない……。


混雑していたとは言え、最初から最後までじっくり見て2時間は軽く超える大展覧会。
あなたの見たい浮世絵に出会える「大浮世絵展」。

江戸東京博物館での会期は3月2日まで。
その後も3月11日〜5月6日までは名古屋市博物館にて、
5月16日〜7月13日までは山口県立美術館にて順次開催。


浮世絵に興味がなくても必ず知ってる作品がある、
興味があればそれがなおさらうれしい、
かなりオススメの展覧会ですよ!


大浮世絵展
http://ukiyo-e2014.com/


江戸東京博物館
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/


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