- 2013年11月13日19:00
酉の市に行くときに思い出して欲しい。その熊手に付いてる赤い奴の出どころはここだ!鴻巣産業観光館「ひなの里」
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埼玉県鴻巣市の産業観光館「ひなの里」に来てみました。
ここはかつて実際使われていた、明治期の蔵を再利用する形で建てられた施設。
「雛人形と花のまち」という市のキャッチフレーズのとおり、特にひな人形に関しての展示を無料で見る事ができます。
ここに展示してあるひな人形は、それこそ江戸期の貴重な人形などがあり、係の方が言うには「これ一組で有料展覧会が出来る」レベルのものまであるそうですよ。
江戸街道のひとつ「中山道」の宿場町だった「鴻巣」。
ここでは江戸時代からひな人形の製作がさかんで、現在も何軒も雛人形の工房があります。
その歴史を伝えるように、現在でもこの界隈は「人形町」という地名が残っており、現存する雛人形メーカーはこの地域にかたまっています。
そんなメーカーが実際使っていた、明治期の蔵を再利用して、人形や、職人の仕事場の再現展示がされている「ひなの里」。
館内の覗くと……
最近見られなくなってきた7段飾りの飾り雛や、
ひな人形にまつわる歴史と、実際の当時のひな人形が展示されています。
鴻巣のひな人形作りを解説する分解展示も。
最近の「ドール」と呼ばれる人形は嵌め込み式のガラスの目玉がありますが、ひな人形も同じようにガラス玉を瞳としているわけですが、顔の部分を成形プレスするわけではありませんので、おがくずの素体にガラスを埋め込み、白く塗り、目の部分を切り出すことで目を表現している――そんな行程もひとつひとつ展示されていました。
そしてこれが係の方の言う「これ一組で有料展覧会が開ける」ひな人形。
「鴻巣雛」と呼ばれている数体の現物。
「え、どこが雛人形?」
と思うでしょ?
私も思いました。しかもなんというショボさ……! と。
ですが、違うんですよ。
この「鴻巣雛」。文化文政期(1804〜1830年)頃から50年の間にしか作られていなかった雛人形の現物で、当時は世相が貧しかった。
何の資源財源もなく、食べるのにも困っていた頃なのに、人形作りだけは継承しようと、紙や安物の生地を使ってまで伝えられた人形で、現在現存するこのタイプの雛人形は日本全国に100体無いと言われているそうです。
時代というものは雛人形の飾り方も変えて行きます。
この7段飾り。
これこそ我々の知る雛人形で、しかもそれでも最近見られなくなった豪華飾りですが、これも実はここ数十年の文化。
高度経済成長期にあった昭和40年代。
それまで人形一体一体ずつ販売し、飾られていたものを、
まとめ売りしたいデパートの要請
に答えた結果、開発された飾り方なんだそうです。
マジか……。
ところで、雛人形がたくさん展示されている中、
あかべこや獅子舞頭、
だるまなども展示されていました。
これ、「鴻巣赤物」と呼ばれる民芸品。
つい最近「国指定重要無形民俗文化財」に指定されたということで、ひな人形と並んで鴻巣という街の伝統文化ということになっています。
いや、正直ですね、鴻巣出身者としても、大きな雛飾りが売れなくなっている昨今、「ひな人形と花のまち」と言われてもどんどん廃れていく文化だと思ってたんですよね。
ですが、この雛人形製作の余技のように昔から作られていた「鴻巣赤物」。
実はある分野で現在も全国的にかなりのシェアを誇っているらしいのです。
日本に現存する最後の秘境!?新宿花園神社「酉の市」行って『見世物小屋』を見て来た
それがこれ。
酉の市でよく見かける熊手です。
ちょうど現在酉の市の期間で、全国でもいろんな神社で酉の市が開催されていると思います。
この記事・写真は昨年のものですが、今年も新宿歌舞伎町の花園神社でも、盛大に開催されていますよね。
この熊手に付いている赤い飾り。それが「赤物」と呼ばれるもので、そのほとんどが鴻巣で作られているらしいんですよ。
特にだるまと言えば高崎のだるまが有名ですが、あちらは大きなものを作るために、紙で出来たハリボテ製。
ですが鴻巣の赤物だるまは、ひな人形の作り方と同じ手法、つまりおがくずを固めて塗っていくタイプ。
そのためこのだるまは重く、
「倒れたら倒れたままの珍しいだるま」なんだと、係の人は笑っていました。
今年の新宿花園神社の酉の市、
14日・15日に二の酉、
26日・27日に三の酉が予定されています。
酉の市にお出かけの際は、境内で売られている熊手の赤い飾りを見て、
「ああ、あれが鴻巣で作られているのか」
と、少しでも我が故郷のことを思い出してもらえると幸い。
鴻巣産業観光館「ひなの里」
埼玉県鴻巣市人形1-4-20
http://www.konosu-kanko.jp/hinanosato/