- 2013年09月16日07:00
『自由軒』と『せんば自由軒』はまったく関係がないらしい!? その双方の名物カレー「混ぜカレー」レトルト食べてみた
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これ、スカイツリータウンの「北野エース」、通称カレーの本棚・カレー図書館で買って来たレトルトカレーのひとつ『自由軒 名物カレー』を実際作ってみたものです。
大阪の老舗洋食店「自由軒」。皆さんご存知だったでしょうか。
「自由軒」を名乗る洋食店は2つあり、
そのどちらもこの写真のような特殊なカレーを提供し、
双方共にレトルトカレーを出していることを。
とりあえずAmazonからその両方を並べてみることにします。
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パッケージの写真はどちらもだいたい同じ。
そして店名は「自由軒」「せんば自由軒」と若干文字数が違う程度。
同じ系列とかじゃないの? と思った方、それは間違っていません。
が問題は、「元祖」のほうは「もう一方」を全く無関係と言い、
その「もう一方」は「元祖」からの引き継いだ歴史があると言っていることにあります。
そしてずっと関東に住んでいる筆者のような人間には「もう一方」こそ唯一無二の「自由軒」であると勘違いが生じていることでしょう。
ここの「元祖」こそ、私が買ってきた、
こちらの『自由軒』でした。
「元祖」『自由軒』
http://www.jiyuken.co.jp/明治43年創業。その味を守るため、現在も大阪難波を中心に関西圏にのみ数店舗構える。
初代より吉田家がその味を守る。
『せんば自由軒』
http://www.senba-jiyuuken.co.jp/吉田家二代目の五男が大阪・船場に支店を出し、「せんば自由軒」(旧名・千日前自由軒)として独立。
(元祖)自由軒総料理長がその味を伝授する。
……と、源流は同じくする『自由軒』と『せんば自由軒』ですが、『自由軒』が大阪を中心に店舗を絞る一方、『せんば自由軒』は関東まで支店を出したり、レトルトカレーを開発し日本全国で販売したり、拡大路線を取りました。
私を始めとした関東から出ていない人間が「自由軒」を知っているとしたら、『せんば自由軒』のほうなわけです。
それが『自由軒』にとって、面白いわけがない。
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ですが商売は難しいですね。
「自由軒」のブランドは全国的に言えば『せんば自由軒』が握っている一方、
そんな拡大路線に『せんば自由軒』は経営が悪化し、2010年に自己破産。
スタッフは変わっていないと言いますが、経営権がまったく無関係の他社に移っています。
『自由軒』が『せんば自由軒』を無関係だと言うのは、ここらへんが原因なんでしょう。
……ま、そんなこと、ちょっとネットで調べたらわかる聞きかじりの知識。
ともかく「元祖」『自由軒』の名物カレーをいただいてみましょう!
箱の中身はこの2つ。
レトルトパックとウスターソースがセットになっています。
ですが実はこのレトルトパック、単にお湯で温めてあけるタイプのカレーではありません。
箱にも、というかオモテ面の上部に大きく書かれているとおり、作り方がやや特殊。
実際作る様子を写真で解説しますね。
まず、レトルトパックから直接カレールゥをフライパンにあけ、火にかけます。
煮立ったところでライス(250g)を投入。
ヘラでライスを潰さないようにライスとルゥを馴染ませ、
ルゥとライスが混ざったまさに「混ぜカレー」を良いあんばいのところで皿に盛り、
富士山型に成形し、真ん中にクボミを作ります。
クボミに生玉子(別売り)をのせ、完成です!
いや、これはなかなかに特殊な形状のカレー。
半生ドライカレーといったところでしょうか。
さて、いただいてみましょう。
まず玉子を割って混ぜます。
玉子を混ぜる前の半生ドライカレーは、スパイシーで中辛程度です。
が、玉子を混ぜることで辛さはかなりマイルドになります。
そこへセットになっていたソースをかけ、またこれも混ぜてみます。
すると、一旦マイルドになったカレーが、辛味を吹き返します。しかも最初のカレーとはまた違ったコクが足された状態で!
カレーにウスターソースを入れるのを嫌がる人いますが、私は意外に好きです。
甘めのカレーに辛味が足されて良いと思うんですが、今までそれでもチョロっと足す程度でした。
この『自由軒』カレーにセットになっていたソースはけっこう量があって、全部かけちゃうと
「かけ過ぎちゃうの!?」(エセ関西弁)
と心配になるほど。
ですが、イケました。
ウスターソースのむせるほど辛い(しかしカレー的ではない)刺激と、カレーそのものの辛味、そして玉子の甘味がそれぞれ渾然一体となり、いまだかつてないカレーの味に仕上がります。
これはうまい!
これはもう、『せんば自由軒』のカレーも試してみなければなりません。
どっちが元祖とか、実際はどうでもいいんですよ。
『自由軒』と『せんば自由軒』が分かれたのは1966年。時代も時代です。
その後経営方針の違いで仲違いしたとはいえ、源流は戦前どころか明治にも遡る歴史があります。
そもそも「自由軒」のカレーがこんな姿になったのも、ゴハンの保温器がない時代に、冷や飯と温めたカレールゥを混ぜて出せばアツアツのカレーがお客に提供出来るのでは!? というサービス精神から生まれたものらしいです。
そんな愛情がどちらにも込められているはずです。
大阪は未だに私が行ったことの無い土地。
NewsACTの取材とかこつけて、いつか行くこともあるでしょう(笑)。
その時はぜひ『自由軒』と『せんば自由軒』、もうレトルトでとか言わずに実際に店舗で食べ比べしたいと思いますよ!
【猪原 賽】