- 2013年02月06日23:00
今年3月に閉鎖……日本に現存する第2に古い地下街「三原橋地下街」でしんみり酒を飲んできた

映画館「銀座シネパトス」の閉館は、今年の3月末。
ミニシアター系の名館の灯がまたひとつ消えようとしている。
閉館理由は立地する「地下街の耐震性が低いこと」。
その地下街こそ、「三原橋地下街」。
日本に現存する地下街で二番目に古く、その歴史は60年にもなる。

銀座を歩いていて、地図に不思議な形を見たことはないだろうか。
あるいは何でこんな形になっているんだろう、という実感をしたことは?

ここだ。
「銀座シネパトス」の看板、映画の案内があるものの、入り口の場所がわからず困惑する者は少なくない。

晴海通りを挟んで、同じような半月状の建物が建ち、向い合っている。
この建物の双方の裏手に行くとわかる。


向かい合ったに2棟の地下は繋がっており、晴海通りをくぐる形で、地下街は形成されている。

しかし、「地下街」と言うにはかなり狭く、短い通りだ。
長さは晴海通りの幅しかなく、テナントも映画館「銀座シネパトス」3スクリーンと飲食店が数店舗のみである。
この「三原橋地下街」は、その名のとおり「三原橋」という橋がかかっていた三十間堀川を埋め立てられて作られたもの。
川を埋め立て、橋はそのまま地下街の形成に流用されたため、

このようなカーブした天井になっているのだ。
つまりこの「三原橋地下街」を歩くということは、かつて水の流れていた川面から、三原橋を見上げている格好になる。
地下街が誕生した60年ほど前よりも、さらに古い橋脚が現存しているため、それは確かに耐震性を危ぶまれるのも仕方ないことかもしれない。
おそらくはシネパトス同様、いずれ近いうちに閉店するであろう飲食店のひとつに、筆者は行ってみた。

この食品サンプルを並べた食堂「三原」も気になるが、


今回はこちら、居酒屋「三原」におじゃましてみた。
(名前は同じだが、定食屋のほうと直接関係は無いらしい。)
中に入るとL字型カウンターと、2卓ほどの座敷がある。
歴史を感じさせるいい感じの色褪せ感のある店内。
女将さんが一人で切り盛りしているらしい。
筆者の入店時には既に常連らしきサラリーマンがカウンターをほぼ埋めており、座敷で軽く酒をいただくことにした。

ビールとお通し。
ビール瓶の向こうに三角柱状の何かがあるのがわかるだろうか。

今時なかなか見かけない形のマッチだ。
確かにこんなマッチ、あったな。
東和銀行がマッチをノベルティにしていたなんて、何年前の話だろう。


まずはおでんを一人前。
薄めのダシに、ほんのり柚子の香りがする。
とても家庭的な味で安心する。

自家製のぬか漬け。
ほどよく使った味がたまらなくうまい。

焼き銀杏は、自分で殻を剥き、塩をつけていただく。

ししゃも(オス)。
代用魚ではない、ホンモノのししゃもだ。
卵を持ったメスばかりが喜ばれるが、オスは身がしっかりしていて、これはこれでうまい。
こうしたツマミでちびちびとやっていたが、常連客と女将さんは、昔なじみの客のうわさ話や思い出をずっと語っている。
やはり閉店するのだろう。
地下街の閉鎖まで、こんな宴が続くのだろう。
地下街が無くなると聞いて初めて訪れた筆者。
新参者どころか完全に一見なわたくしは、そっとお勘定して店を出た。
三原
東京都中央区銀座4-8-7 三原橋地下街
03-3564-1587
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